お葬式

お葬式の流れ

お葬式のやり方は宗派やお寺によって様々です。以下は金剛寺の通夜・葬儀の流れになります。すべての作法や読経は故人をおくるために、故人のいつまでも安らかで穏やかな眠りを祈って行うものです。特に大切とされている作法は,”戒名を授けること”と”引導を渡す”ことです。引導とは本来,故人を悟りの世界に導くための法語で,私たち僧侶が故人に言い渡す最期のはなむけの言葉です。故人のお人柄や人生,ご遺徳,または遺族への願いを戒名や引導法語に込めて供養致します。

お通夜

当日の流れ
 
お話   主に戒名に込めた意味の説明 
読経 
剃髪偈  本来は髪の毛を剃って身を清めるための詩
懺悔文  生前の過ちを反省して心を清めるための詩
三帰戒  仏弟子としての誓いの文
授戒   仏弟子として守るべき戒律を授ける
戒名授与 「戒名」を与える
入龕回向 本来は故人を棺に納める際のお経
通夜回向 お通夜のお経
 

お葬式

当日の流れ
 
お話      主に命や死に対する考え方について
読経
鎖龕・起龕回向 本来は棺のふたを閉じてお寺に運ぶ際のお経
龕前念誦        諸仏に故人の冥福を願う
「引導」    迷いを払い、悟りに導くための詩
告別回向    葬儀のお経

初七日法要   本来なら命日から数えて7日目に行う法要

戒名とは

戒名は故人に新しく授けるお名前です。本来はお釈迦様の教えを守ると約束した人に授ける名前(仏弟子としての名前)ですが,今日では一般的に亡くなった後に”おくり名”として生前の功績やお人柄、遺族への願いなどを意味に込め故人に贈ります。墓石やお位牌に刻まれて,故人を供養するときにお読みします。
臨済宗の戒名の形式は大きく分けて以下の3種類があります。

しんじ   しんにょ

信士・信女

こじ     だいし

居士・大姉

  いんごう

 院号

引導とは

本来、引導とは迷い苦しんでいる者を悟りに導き入れるという意味の言葉です。今日一般では、葬儀の中で導師が唱える法語を引導といい、禅宗のお葬儀の中で一番重要な作法とされています。禅宗の葬儀で引導を渡す作法が始まったのは1200年ほど前の中国で黄檗(おうばく)禅師が亡き母に炬火(たいまつ)を投じ、詩を述べました。これが引導の始まりとされています。これに関してこんな逸話が残っています。
黄檗は出家して仏道修行の身であったので母と離れ離れに暮らしていた。父とは既に死に別れ、母は老いと息子に会えない悲しみから目が見えなくなってしまった。20年経ったある日、黄檗は近くを通ったので母のひと目見たさに家に寄る。自分があなたの子であると言うと親子の愛に引かれて修行の妨げになると思い、盲目の母に他人のふりをして振る舞い、その場を立ち去る。村の人に今立ち去ったのが黄檗だと言われ、母は盲目ながらも子の名前を呼び続けて必死に跡を追う。しかし、途中で誤って河に落ち、溺れ死んでしまった。黄檗はそれを知り、真夜中だというのに炬火(たいまつ)を照らし河に入り母の亡骸を探し、弔い引導した。その時の引導の語は
 
「広河源頭乾徹底 是此五逆無所蔵 一子出家九族生天 若是妄語諸仏妄語」
 
この広い河の水が全て乾ききれば、母を死なせてしまったというこの大きな罪を隠すところはどこにもない。一人が出家すればその家族は九代にわたり天界に生まれる変わると言われているが、もしこれが嘘ならば(母を天に生じさせてくれなければ)仏は皆を欺いたということになる。(だから、絶対に母を救ってほしい。)

というものです。引導の内容は主に、亡き人の生涯やお人柄を称えて死をさとすものです。今でも漢詩を用いて作られることが多いです。


 

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